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ここまでのMido Labo


Mido Laboの第1回公演は2015年2月に行なわれました。演目は吉永南央さんの「紅雲町珈琲屋こよみ」シリーズの第1話、「紅雲町のお草」。

このシリーズは紅雲町という地方都市で珈琲屋を営む杉浦草という70代の女性が主人公。四季をふんだんに取り入れた瑞々しい文体や、リアルな現実の中でも力強く生き抜こうとするお草さんの姿、さらに持ち込まれる様々な困りごとをお草さんが抜群の洞察力で解決する、というストーリーが大好きだったんです。

以前から「いつか舞台でやってみたい」と思っていたのですが、連作短編なので、ひとつの作品を取り上げて舞台化してもなかなか作品世界を表現することが難しいと思い、手を付けずにいた話でした。

それでもなんとか舞台化できないか…と考えた末に、ええい、やってしまおう!と思って始めたのがMido Laboです。vol.1からvol.3までは、お草さんやその周囲を理解するために知っておいた方がいいことが書かれている3つの作品を、松井が厳選しました。そしてvol.4からvol.9までは「名もなき花の」という紅雲町シリーズの中の1冊を6編、ひとつずつ全て上演。結果、2015年から2016年にかけては、無謀にも2ヶ月おきに公演を行いました。

こちらとしては続けて観ていただけると小説を1冊読んだことになりますよ、ということで、複数回来ていただくことを目標としたのですが、結果としてリピート率は3割程度でした。数は多くありませんが、そもそもこういう試みに乗っかって楽しんでいただいた方がこれだけいらした、ということについては、もう本当に感謝しかありません。貴重な経験でした。

紅雲町シリーズが終了したのが2016年の7月。さすがに疲れまして(^^;;その年はお休み。そして今年、タイトルに沿った2つの作品を上演するというスタイルに変え、装いも新たに再スタートしました。

3月に行なったvol.10では「記憶の底へ…」というタイトルで、日下圭介さんの「緋色の記憶」と、高橋克彦さんの「遠い記憶」を上演しました。「緋色」はとても実験的な作品。主人公が最後まで登場せず、役者は全員ひとり芝居のように見えない主人公と会話をしました。「遠い」はサスペンスミステリーで、主人公の歴史小説家が幼少時の記憶を取り戻していく話。ラストシーンでは「こわい~」の声が多数。今までのMido Laboとはまた全く違う舞台になりました。

そして9月に行なったvol.11は「遺す者 遺された者」というタイトルで、池井戸潤さんの「かばん屋の相続」と、重松清さんの「ささのは さらさら」を上演。「かばん屋」は池井戸さんらしい、信用金庫の若手営業マンの目を通したある一族の遺産相続の話。スーツの男性がずらりと並ぶ、迫力のある作品になりました。「ささのは」は、思春期の女の子が母親の再婚話を経て成長していく姿が丁寧に描かれた作品。重松さんらしい、10代の瑞々しい感性の表現が感動を呼びました。

そして今回。vol.12「優しい植物」へ。長くなりましたが、ここまでのMido Laboを振り返りました。改めて書いてみると、いろいろありましたね。最初はまさに松井が実験的な舞台をやりたい!という一念だけでスタートしたMido Laboですが、ここまでいろいろな方のお力を借りて上演し続けるうちに、ありがたいことに手伝ってくれる仲間が増え、少しずつその形が変化しています。

それもまた良し。柔軟性がMido Laboのいいところだと信じているので、これからもまた形を変えることがあるかもしれません。でも、常に何かにチャレンジしたい、という気持ちは持ち続けようと思っています。vol.12でもいろいろやりたいなぁ。

さて、今日がいよいよ今年の最終稽古。この稽古を受けて、明日ついに配役が発表になります。こちらのブログで発表しますので、どうぞお楽しみに!

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