vol.7 紅雲町珈琲屋こよみ7「弥生の燈」
日時:2016年3月30日(水) 19:30~ 31日(木) 15:00~ 19:30~ 会場:下北沢亭(下北沢駅南口より徒歩5分) 東京都世田谷区代沢5-29-9 2F 料金:3000円(1ドリンク付き)全席自由 出演:松井みどり 土橋建太 安武みゆき 醍醐二夜 元明真由美 竹内道郎(ギター) 原作:吉永南央 脚色・演出:菊池敏弘 運営:北村真一郎 金純樹 入澤建 百鳥花笑
由紀乃の家の隣にあるボロ屋が大雪で崩れそうになっており、心配した草は朝早く見に行きました。住人の小林ちう子は、昔、貴美路という芸者でしたが、今は近所付き合いがほとんどなく、草もよく知らないのです。軒下に この庭のものらしい白梅が落ちていましたが、他に潤いは感じられません。
小蔵屋に帰った草は、バクサンからの電話を受けます。バクサンは、最近萩尾が勅使河原先生の家へ寄った帰りにポンヌファンで深酒して荒れることを心配していました。萩尾は以前、ある発見を仲間に奪われたのですが、サプライズ・パーティーでの藤田の話では、奪ったのが勅使河原先生だったように思え、草も心配します。
翌日、草は貴美路の家の修理を頼もうと市の建築指導課を訪れます。そこの職員の話から、あの家は後藤聡一という人物が持ち主で、貴美路を厚意で住まわせているのだと聞かされます。すぐに対応はできないと言われますが、たまたま居合わせた男から、貴美路は桐生にいる、という情報を得ます。
由紀乃を訪ねて、ここまでの顛末を報告する草。勅使河原先生の原稿盗用の誤解は解けたことを聞かされます。由紀乃は、最近ミナホに元気がないことを心配していました。萩尾が好きなのに、なぜかそう言えないミナホを思った草は、ミナホの車で桐生へ行ってみようと思い立ちます。
貴美路は桐生のアトリエショップに寝泊まりし、三味線を弾いたり、教えたりしていました。ショップの店員によると、貴美路は芸者を馬鹿にされると客でもケンカをしたり、三味線教室の生徒の手を バチで叩いたりするのだとか。しかし、ここ数日はいないようだと言います。
帰り道、草はミナホをポンヌファンに誘います。そして直接萩尾のことを訪ねますが、ミナホは、過去が消せない限り、藤田とは一生切れない、だから萩尾とは…と苦しそうに話すのでした。藤田とミナホはどうやら萩尾に対して同じ罪を背負ってしまったらしいことに、草は気付きます。
草はふと、以前若い芸者たちが復活させた置屋のことを思い出します。そこの芸者の師匠を古いおでん屋に訪ねた草は、昔、貴美路は一流の芸者で、その一番の理解者が後藤聡一だったこと、住んでいた置屋が取り壊しになった時、紅雲町の家を世話したのが後藤だったことを聞かされます。すると、おでん屋の店員が、貴美路は草があの家を見に行った、雪が積もった朝の前日に紅雲町へ戻っていた、と言い出します。
しかし、依然として貴美路の行方は知れぬまま3月も後半になり、暖かくなってきた頃、草は軒下に置いたレンギョウの花を取り上げた拍子に花がポロポロと落ちたのを見て、貴美路の家の軒下にあった白梅の花を思い出します。あの日、雪で家が潰れないか心配になった貴美路は家の修理をしようと帰宅。来客もあるだろうから庭の白梅を手折り、家の中に入ったところで、倒れたのではないか…。草は貴美路の家へ駆けつけますが、彼女は家の中で亡くなっていたのでした。
貴美路の葬儀の帰り、一緒に出席したミナホに、草は萩尾のことをもう一度問いただします。しかしミナホは「あやまっても済むような話じゃないんです…」と言葉を濁します。そこへ、偶然萩尾が通りかかります。ところが萩尾はミナホを無視して、草にだけ礼をしたのです。ミナホは好きな萩尾に何をしてしまったのか。そこに藤田は、勅使河原先生は、どう関係するのでしょうか…。