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リーディングトリップ・シアターについて


昨日のブログでは、なぜ「リーディングトリップ・シアター」という言葉が生まれたか、ということを書きましたが、今日はもう少し「リーディングトリップ・シアター」について書いてみようと思います。

私(松井)は2008年に舞台活動を始めてから、「人前で読む」ということはどういうことなんだろう、ということを一貫して考え続けてきました。

もともとアナウンサーですから朗読という分野からスタートしましたが、朗読を勉強している時から「聴いてもらうものなのに、なぜわざわざ舞台でやるんだろう。ラジオとかCDとかで聴いてもらうのと同じじゃつまらない。舞台で読むからこそ面白いと思ってもらえるには、どうしたらいいんだろう」と思っていたのです。

いろいろな試みをしてみましたが、今のところの私が辿り着いた答えと思しきものは、「観ても楽しんでもらえる舞台であること」「リアルと想像を組み合わせた舞台であること」というものです。

例えば、Mido Laboでは、俗に言う「前芝居」というものを多く取り入れています。隣にいる人と会話をする時、直接向き合って話すのではなく、お互いに相手が自分の正面にいるものと思って、それぞれが客席に向かって話をすることです。

リアルでは絶対にありえない状況なので、人によっては「見方がわからない」という方もいらっしゃると思いますが、私たちはこれを映像で言う「アップ」のつもりで使っています。

互いを向き合ってしまうと、客席から役者の顔が半分しか見えません。ドラマならカメラが切り替わってどちらかのアップになる場面ですが、舞台ではそういうことはできません。そこで、役者がいきなり前を向いて話を始めると、互いの表情がはっきり見えるようになります。

これをお客さまに観ていただくと、不思議なもので、皆さん自然にご自身の頭の中で「これは向き合って話している場面なんだ」と思いながら観てくださるのです。

こんな風にリアルとお客さまの想像力を組み合わせた舞台、それが私たちの考える「リーディングトリップ・シアター」です。あるところはとてもリアルに、またあるところはとても舞台的に作り込み、それをお客さまの頭の中で組み合わせて楽しんでいただく…こう書くと、なんともお客さま任せの舞台ですね(^^;;

でもそこに、普通の芝居や映画、ドラマと違う面白さがあると思うのです。

舞台に立っていると、お客さまそれぞれが自分の頭の中でイメージして楽しんでいるはずなのに、あるタイミングで、全員が同じイメージをしている、という思う瞬間があります。なんでしょう、会場の不思議な一体感のようなものです。

そこを、ぜひ楽しんでいただきたいと思っています。リーディングトリップ・シアターではお客さまのことをトリッパーと呼び、小説の世界を旅する旅人として参加してください、とお話しているのですが、この舞台はお客さまに積極的に参加していただくことで、より楽しめるものになります。そして私たちはお客さまに自然にそう思っていただけるよう、様々な工夫を凝らします。

私たちが皆さんをナビゲートします。ぜひトリッパーとして、小説の世界を一緒に楽しみましょう。

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