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「ささのは さらさら」について


いよいよ公演まで1週間となりました。おかげさまでチケットのほうは16日の数枚を残すのみ。本当にありがとうございます。Mido Laboでは経験のないことなので、関係者一同アワアワしていますが、たくさん来ていただいくお客さまに楽しんでいただけるよう、残りの時間をしっかり使っていこうと思います。

さて、ずい分前に「かばん屋の相続」についての話を書きましたが、「ささのは さらさら」のほうは書いていなかったことに気付きました(^^;;こんな時期になってしまいましたが、こちらの作品についても、私が思うことを書いておきたいと思います。

この作品は重松清さんの「季節風」という、春夏秋冬の4冊からなる短編集の「夏」の中のお話です。このシリーズは大阪の新聞に毎週掲載されていた作品を集めたものだそうで、季節感あふれる作品がたくさんあるので、いつか読んでみたいと思っていました。

この文庫本のあとがきで重松さんが書いてらっしゃいました。

夏といえば「ドキドキ」である。

そして夏には「終わり」がよく似合う。

水着、海、薄着、ひと夏の恋…の「ドキドキ」。甲子園、夏祭り、夏の終わりの海、お盆などの「終わり」…。

さらに重松さんは、「終わり」は悲しいだけでなく、「終わり」があるから「始まり」があるんだと言います。実際「終わりの後の始まりの前に」という作品がありますが、今回Mido Laboのテーマにしようかと思うくらい、私は気に入った言葉でした。

「ささのは さらさら」の主人公の高校生・ミチコは、まさに「終わりの後の始まりの前」を生きています。お父さんが亡くなってお母さんが再婚する…ひとつの家族の形が終わり、新しい形に変わろうとしているその時、高校生のミチコが感じる大人と子どもとの中間の気持ち。そこが瑞々しく描かれた作品です。

「遺す者」が遺していったものを引き継ぐ「遺された者」として、ミチコはどう生きていくのか…ミチコの気持の変化、新しい旅立ちを、ぜひ見守っていただけたらと思います。

そして、もうひとつ…今回はこのミチコ、松井が演じます。朗読としてひとりで読む時は、それこそおじいちゃんおばあちゃんから幼稚園生まで演じたことはあるのですが、複数人で役をふって読む、という方法でもちゃんと違和感なく観ていただけるのか…そんなところにもチャレンジしております。

もちろん見た目は何十年も前に高校生を卒業したものですが(^^;;重松さんが描かれた生の高校生の気持ちを、大袈裟にならず、でもきちんと伝えられるよう、あと少しの時間、さらに精進します。

2人の子供を残し若くして亡くなったお父さん、懸命に家庭を支えながらも自分の人生を生きようとするお母さん、子どもから少年へ成長する弟のカズキ、お父さんに敬意を払いながらこの家族を守ろうとする近藤さん、そしてミチコ…。誰に感情移入しても楽しんでいただける作品だと思います。どうぞ、お楽しみに!

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