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「かばん屋の相続」について


お盆休みですね。皆さま、いかがお過ごしでしょうか?東京は今日は少し涼しいのですが、皆さまがいらっしゃるところではどうですか?

さて、今日は「かばん屋の相続」を上演作品として選んだ理由などについて、お話ししたいと思います。

このお話は、2012年に私が主催した「2030夜の図書委員会」というイベントの第1回で読んだ作品です。

このイベントは、私が読んで面白いと思った作品を1年間月イチで朗読してご紹介する、というものでした。場所は池袋の「昭和」という喫茶店。写真のような、とてもアンティークで落ち着くところです。

第1回ですから、2012年1月。今からもう5年以上前になるんですね。こんな感じで、10人入ったらいっぱい!という小さな喫茶店でしたが、 熱心に通ってくださる方もいらして、私にとってはとても思い出深い1年間でした。

ここで初めて読んだ「かばん屋の相続」。この話が読みたくて、このイベントを始めたのかもしれません。そのくらい、この話が好きだったんですね。なぜ好きかといいますと…

若い信金マンの太郎を通して、松田かばんという会社を経営する松田家の遺産相続の顛末を描いた話なんですが、まずは当時あまり一般的ではなかった金融マンを主人公にした話だったということ。その後の池井戸さんのご活躍で、今では珍しくない設定ですが、当時は珍しく(私にとっては)、職業小説としても楽しめる作品です。

それから登場人物ひとりひとりがとても魅力的に描かれている、ということ。ひとりで読みますから、同じような人が多いと難しいのですが、この話ではそれぞれのキャラクターがはっきりしているので、とても読みやすいし面白い。感情移入もしやすいのです。

そして何といっても、どんでん返しの鮮やかさ。このお話はミステリーではありませんが、私は読んでいて「えっ?そうだったの?」と、いい意味で裏切られるストーリーが好きなので、その後もそういう作品をたくさん読みました。この話でも、ラストに「ああ~、そうだったんだ!」というオチが待っていますよ。

というわけで、以前ひとりで読んだ思い入れのあるこの作品、Mido Laboでやったらどうなるだろう?と思ったんですよね。それぞれの登場人物がより鮮やかに頭の中に描かれるような気がして、それを観てみたい、と思いました。

実際、稽古を進めていると、「ああ~、ここはこういうことだったのか!」「この人、そういう気持ちだったのか」など、ひとりでは詰め切れなかったところに気付きます。それだけ、役者の皆さんが素敵に演じてくれているんですよね。それぞれのキャラクターの色を、皆さまにはぜひ楽しんでいただきたいと思っています。

また、原作を先に読む、というのもMido Laboの楽しみ方のひとつです。中には、必ず原作を読んでから公演に来る、というお客さまもいらっしゃいます。ご自分が読んだ時に感じたものと、舞台を観た時に感じるものの違いを楽しむのもオススメです。

さて、今日も「かばん屋」チームの稽古があります。ラストまでさらって、なんとか荒通しまでやりたい!がんばります(^^)

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