人でなしの恋 1
さて、いよいよそれぞれの作品の稽古がスタートしました。まずは「人でなしの恋」。
こちらは出演者が少ないのですよ。なので、稽古場もこじんまりしてます。
まずは台本の修正から。「本を読む」ということで何かを伝える場合、できるだけ全文を読んだ方がその話が伝わる、と思われがちですが、「音読」「黙読」ではなく「舞台朗読」と考えた時、それはちょっと違うんじゃないかなぁと私は思っています。
耳で聴いて処理できる情報は、目で活字を追って得られる情報より、明らかに少ない。だから原文をそのまま読むよりも、優れた脚色家が本を読み込み、必要な情報のみを抽出して読んだ方が、作品の世界がより鮮やかに伝わると思うのです。
ですからこの台本の修正という作業は「台本を短くする」というマイナスの意味ではなく、「小説の世界をよりわかりやすく、リアルに伝える」という意味で、リーディングトリップ・シアターにとってはとても重要な作業なのです。
今回も、前回の顔合わせで初めて読んでもらった時に脚本家が感じたことを、台本に反映させました。修正後に一度読みましたが、話がぐっとリアルに伝わるようになりました!
そして、立ち稽古へ。
まずは、とりあえず身体を動かしてみて、様子をみます。人間っておもしろいもので、座って読む時と立って読む時では身体が違うので、出てくる表現も変わります。
ターキー(石上貴子)とゲンゲン(斉藤厳)もお互いの距離を測りながら、そのあたりをいろいろ試していました。
まだ話の全体は立ちあがっていないので、最終的にどんな舞台になるのかは全然わかりませんが、役者もそれぞれの役のイメージを出し合い、修正が必要なところは修正してきます。
まずはやってみて、それから修正、という流れですね。つっちー(土橋建太)はそのあたりのアイディアをたくさん出してくれるので、演出(菊池敏弘)もとても頼りにしています。
演出に言われた通りに動く、ということももちろん大切ですが、自分なりのイメージを持ってそれを提示してくれると、演出も新たな発想が出て来るそうです。
その演出、ノープランと言うわりには、初回から熱の入った演出していました。
さすがに部分部分は強いイメージもあるようで、後半ではこの後の展開を説明。出演者からは「おお~」「なるほど~」の声!
今回は冒頭の部分をいろいろ確認しながら丁寧に作りましたが、早くもっと先が見てみたい!という稽古でした。
しばらくは、全体を作り上げる作業。多少荒くても、先へ先へと進みます。