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vol.12稽古⑲


この日の稽古は「うたかた」。今回、こちらの演出にはかなり苦労しています。

演出(菊池敏弘)も毎日、頭を抱えながら考えていましたが、残りの稽古日数を考えると、この日の稽古ではサノヨー(佐野陽一)が出演する場面はなんとしてもさらわなければなりません。

ということで、team GREEN中心の稽古。前回の続きからスタートしました。

「うたかた」は、刑事役と房子役で物語を進めていきます。特に刑事は、どういう存在としてその場にいるのかがとても大切。

普段はバリバリ身体を使ってお芝居をしているサノヨー。刑事という役を通して房子の生涯を見る、という読みを見せてくれました。

演出も、自分が思っていたものとは違う、でも大切なものを改めて確認した模様。

それを踏まえた上で演出からは、刑事としての立ち位置を大切にしながらも、ある時はもっと房子に寄り添って、ある時はもう少し遠くから、というように、その場その場で立ち位置を変えて読んでほしいと、リクエストがありました。

リーディングトリップ・シアターでは、地の文の読み方はとても大切です。

誰が、どういう意味合いで読むのか、ということも大切ですし、同じ人でも場面に合わせて微妙に立ち位置を調整しながら物語全体のバランスをとる、という感覚も大切。

本当に微妙なところを探ってく、繊細な作業になります。

演出とサノヨーは、休憩時間中も打ち合わせを続けていました。

そして、ついに演出がもっとも頭を悩ませていた、ひとつのクライマックスシーンへ。

いろいろ試しながら、実際にどう見えるかを確認し、少しずつ形づくっていきました。転換のシーンも微妙に修正。

ここはやはり房子と夫が、どんな気持ちでそこに立っていたのか…ということを理解するのが一番大切な場面。

彼らが生きた時代は、戦争という時代。ほんの70年くらいしかたっていないんですけどね、今の私たちにとっては、とても遠い時代です。

もちろん本当の経験者じゃなければわからないことがたくさんあるはずですが、後世に生きる私たちとしては、そういうことを語る土台を完全じゃなくても持っていないと、自信を持って演じることができません。

私(松井みどり)はMido Laboでvol.1からvol.9まで杉浦草という76歳の女性を演じてきました。年上の役を演じるのは、本当に難しい。やっぱりそれだけの歴史を感じてもらわないと、説得力がないと思うんですよね。

なので、さらにきちんと土台を持って臨まなければいけないなと、改めて思いました。

稽古はその後順調に進み、なんとラストシーンまで確認することができました!

まぁ、最初から思ってはいたことなのですが、「うたかた」は派手な動きや演出はないので、大きな部分さえ決まれば、あとは自然に流れます。

ただ、ここからが大変!この日の稽古で出たような、自分の立ち位置、土台を持った上でセリフを言う…といった、繊細な部分をどこまで詰められるか。ここからが勝負です。

でも、「うたかた」の稽古で初めて演出から「いいよ。面白い!」の声が出ました!いい傾向です(^^)さて、このいい流れで週末の稽古へ突入です!

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