vol.12稽古⑥
この日の稽古は前回、前々回と違う稽古場。暖房器具も完備されており、快適な気温の中、稽古ができました。あまりに寒い寒いと書いているので心配してくださった読者の皆さま、ありがとうございました(^^)
稽古の前、「とっくり」をけんちゃん(入澤建)が知らない!という衝撃の事実で盛り上がる面々。後に「ケミカルウオッシュ」のジーンズも知らないということが分かり、これまた大盛り上がり!時代ですねぇ。
左がけんちゃん、右がゲンゲン(斉藤厳)。このふたりは「サボテンの花」でメインとなるのですが、まだこれから仲良くなろうというところだそうで…。はたから見ていると十分に仲良しだと思うのですが(^^;;
2人によると、真ん中に椅子を挟まずに座れるようになるかどうかが、仲良くなる基準だとか!どうなるか、見守っていきましょう~。
ちなみにゲンゲンの顔にある傷は、ちょっとしたもの。決して事故にあったわけではありませんし、すぐ直るものですから、皆さまご心配なく。
この日の稽古は「サボテン」から。前回から少し進んだところを稽古。演出からは、動きをつけると同時に、そろそろ個人へのダメ出しが始まりました。
「ダメ出し」とは、ダメなところをあげつらうのではなく、演出が意図していることを説明し、そのためにやってほしいことを提案したり、お願いしたりするという、作品を作る時にはとても大切な作業です。
この言葉、音だけ聞くとなんだかザワザワしますよね。便利だから使ってしまいますが、演出家さんによっては「お願い」などと言い直している人もいます。いい言葉があったら、言い換えたい言葉ですが…とにかく、動きを決めながらも、演出のイメージを役者陣に伝え始めた、ということです。
まだまだみんな手探り状態ですが、だんだん作品の形が見え始め、楽しいです~。
そして「うたかた」へ。こちらも前回までにつけた動きを確認してから、新しいところに少しだけ進みました。
この日は、いわゆる「朗読」と「リーディングトリップ・シアター」の違いの話が出ました。
一般的に皆さんがイメージする「朗読」では、聞き取りやすいきれいな声で、音を粒立てて、きちんと聞き手に届けることが大切です。お客さまが目を閉じて聴いてもわかるように読む、ということですね。
ですから「朗読」では、地の文とセリフの読み方の違いが、あまりありません。もちろん感情を込めては読みますが、あくまで「そこに書いてあるセリフをきちんと伝える」ことが目的です。リアルな間とか、テンポとか、相手を感じて言う、というようなことまでは求められないことがほとんどです。
リーディングトリップ・シアターでは、セリフには生っぽさを求めます。そこはお芝居と同じですね。「そのセリフを言いたい気持ちになってから言う」「相手のセリフを聞く」というようなことを大切にして、普段話しているような発声やテンポで、あたかもその場に登場人物と一緒にいるような感覚をお客さまにお伝えしたいのです。
地の文ではもう少し「きちんと読む」ということが大切になりますが、きれいに読むということではなく、その場面を読み手がきちんと感じて読みたいと思っています。つまり、そこにそう書いてあるから読むのではなく、その場面をしっかり感じてイメージしながら、隣りにいるお客さまに直接話しているような雰囲気が出せれば理想です。
エラそうにいろいろ書いていますが、私たちも「こうありたい!」と思って、日々それぞれが様々な実験をしているところです。臨場感を持って「小説旅行」をお客さまに楽しんでいただくために、今後も精進いたします!
この写真、ある意味Mido Laboの象徴的な写真です。役者自身が考え、提案し、やってみてから決定する…その流れがなんとなく感じていただけるんじゃないかと。
今月中にあと10回稽古があるので、その間にラストまでひと通り決めることが、今のところの目標です!