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vol.5 紅雲町珈琲屋こよみ5「霜月の虹」


日時:11月7日(土)開場13:30 開演14:00 会場:下北沢亭(下北沢駅南口より徒歩5分)     東京都世田谷区代沢5-29-9 2F 料金:2500円(1ドリンク付き)全席自由 出演:松井みどり 入澤健 竹内道郎(ギター) 原作:吉永南央 脚色・演出:菊池敏弘 運営:北村真一郎 金川美咲

小蔵屋の駐車場で開店前にリヤカーで野菜を売らせてくれないか、という電話に断りを入れた草は、客の何人かがコーヒーを飲んだ後に首をひねるのが気になります。

自分の腕が落ちたのではないかと心配になった草は、コーヒーの師匠である、フランス料理店「ポンヌファン」のバクサンこと寺田博三の元を訪ねます。腕は確かだと言われホッとした草に、バクサンは新聞記者の萩尾を引きあわせます。萩尾は大学生の時ポンヌファンでアルバイトをしていたので、草とも旧知の仲。久しぶりに会った萩尾は、すっかり新聞記者が板についたようでした。

萩尾は紅雲町にある田中青果店が産地偽装をしているとして、取材をしたがっていました。会社のデスクとぶつかって、期限内に記事にしろと言われ、焦る萩尾。萩尾の真っ直ぐすぎる正義感を心配したバクサンは、草にお目付役として協力してやってほしいと頼みます。

よく買い物に行く店なので気が進まぬまま、萩尾とともに田中青果店へやって来たお草さん。経営者・田中の母であるみつさんと話しながら買い物をしているうちに、萩尾は店の中を物色。産地偽装の証拠をつかんだと言います。田中が野菜を下ろしているのは京野菜を使った料理店。しかし、店の中にあった野菜が入った段ボールには、関東近県の名前しかなかったというのです。

しばらくして、萩尾が小蔵屋を訪ねてきます。田中青果店の件を記事にする目処がついたらしいのです。食事をしながら、草は萩尾に、田中青果店で売っている野菜はおいしいし、熱心に仕事もしている田中が、わざわざ産地を偽装することが解せない…と打ち明けます。何事か考えながらじっと聞いている萩尾…。

食事のあと、バクサンへ電話をかけると、バクサンは萩尾の取材が無事に終わったことに安堵します。萩尾は以前、熱心に行っていた郷土史の研究で価値ある発見を仲間に奪われたことがあり、それ以来、正義感が強くなったらしいのです。

萩尾が帰ってから草は、自分がみつさんからもらったメモ用紙の裏側を、萩尾がじっと見つめていた時のことを思い出します。そこには、田中の野菜を買っていた店側も産地の偽装を知っていた、ということがわかるメモが書いてあったのです。萩尾は記事にする前にそのことを知っていたのに、功を焦るあまりそのことには目をつぶり、一方的に田中青果店の不正を追求した記事を書いたのでした。

結局記事は新聞に載り、みつさんは過労で入院。草は後ろめたい気持ちを押して買い物に行き続けます。草の産地偽装を行ったのかというストレートな問いに、暗に不正を認める田中。そこへ田中の次男がやってきます。実は彼は、小蔵屋で野菜を売りたいと言ってきた男と一緒に、リヤカーで採れたての野菜を売っていたのでした。

しばらくたち、屋台村に田中の次男たちのリヤカーや、農業をやっている若者たちが店を出す、おはようマルシェが開かれました。そこを訪れた草は、取材に来ていた萩尾と会います。自分が本当に好きなことを生き生きとやっている若者たちを見て、萩尾は自らの生き方を考えているようでした。

小蔵屋では、取り入れ忘れた大根が軒下で悪臭を漂わせていました。それが客がコーヒーを飲みながら首をひねった原因だったとわかった草は、いろいろと心配した自分が可笑しくなります。そしてその後、自分の好きな郷土史研究に熱を入れ始めた萩尾は、以前よりも生き生きした様子で、小蔵屋に立ち寄るようになったのでした。

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