vol.4 紅雲町珈琲屋こよみ4「長月、ひと雨ごとに」
日時:9月12日(土)開場13:30 開演14:00 会場:下北沢亭(下北沢駅南口より徒歩5分) 東京都世田谷区代沢5-29-9 2F 料金:2500円(1ドリンク付き)全席自由 出演:松井みどり 竹内道郎(ギター) 原作:吉永南央 脚色・演出:菊池敏弘 運営:北村真一郎 金純樹 金川美咲
小蔵屋が主力商品であるコーヒー豆を仕入れている、ミトモ珈琲商会の三友社長が、娘の令に社長の座を譲ることにしたと挨拶状を寄こしました。三友社長は草のことを買ってくれ、今まではかなり安い仕入れ値で卸してくれていたのですが、娘の令は同じように草に対して対応してくれるものか、草は気がかりになります。
そこで、横浜にあるミトモ珈琲商会を訪ねてみると、事前に専務の井を通して令も同席すると約束していたにもかかわらず、令は現れません。三友社長は、令が自分勝手に経営をやりすぎる、社長を譲ったのは時期尚早だったか…という思いを草に打ち明けます。
紅雲町に帰ってきた草は由紀乃の家で、勅使河原ミナホという、由紀乃の亡夫の従弟の娘からの電話を受けます。芸者の着付けを頼まれたがひとりでは間に合わないので、草にも手伝ってほしいというのです。
芸者の置屋はすっかりなくなったと思っていた草でしたが、若い人たちが復活させていたのでした。無事に着付けを済ませた草は、お礼にとミナホに言われ、彼女の美容院で髪を切ってもらいます。
そこでミナホは、表に出ている美容院の看板が、雨が降ると軒先に入れられている、と言います。助かるのだが、誰がやってくれているのかわからない…少し不安そうなミナホ。
その後草は、ミナホの美容院の入っているビルに、ミトモ珈琲商会の人が下見に来たと聞き、ミナホの家を訪ねます。そして下見に来たのは令だとわかります。紅雲町にライバル店を出店するつもりなのか…草は心穏やかではありません。
ミナホが父と暮らす勅使河原家にはガラス鉢に入ったメダカがいて、離婚したミナホの母が置いていったと聞かされます。その世話をしているのは、郷土史家の父・勅使河原先生でした。
時を同じくして、令の名刺が小蔵屋に。令は名前を名乗らず、少し前から小蔵屋に客として偵察にきていたのでした。しかし草は令から、紅雲町への出店はあきらめたと、意外な話を聞きます。小蔵屋へ通ううち、草には適わないと知った令は、小蔵屋への仕入れ値も以前と同じで良いと言います。
彼女と話すうち、三友社長と令の間で、情報が伝わっていないことに草は気付きます。その間にいて、故意に情報を伝わらなくしていたのは、専務の井…。令の恋人でもあった井は、令を社長から引きずりおろし、自ら社長になろうと画策していました。草は三友社長に連絡をし、令に直接連絡を取るよう頼むのでした。
一方、草が由紀乃の家を訪ねると、雨が降りそうだからミナホの美容院へ行って、看板を誰が動かしているのか確かめようと言われます。草は由紀乃と一緒に、修理に出した柱時計を受け取りがてら、その時計屋から正面に見えるミナホの美容院を見張ります。
そしてついに雨が…その時、時計屋の店主がさっと席を立つと、道を渡ってミナホの美容院の看板を軒下へ。驚く2人に店主は、亡くなった妻が、ミナホの父・勅使河原先生にもらったメダカを可愛がっていたので、小さな恩返しをしているのだと話します。
草はガラス鉢の中の、少し濁った水の中にいるメダカに思いをはせ、自分たちも俯瞰で見たら、このメダカたちのように見えるのかもしれないと思うのでした。